大事にすべきこと②

入居のためのご挨拶へ伺った時、目を真ん丸にしておどけた顔をされ「どうも、こんにちは。」と返してくれました。
その表情が何とも愛らしくて…綺麗かつ上品な雰囲気を漂わせている方でした。
そんな印象を持った反面、この方がおかれている現状に、憤りと悲しみ、その他もろもろの何とも言えない気持ちで胸が一杯になりました。

何かが間違っている。いや、間違いだらけだと思いました。
そして、恐らく、これは氷山の一角を目にしただけだとも感じました。
こんな状況を望む人はいないはずです。
身体拘束に関わる同意書のサインさえあれば心おきなく隔離し、縛られる世の中なのです。
たとえ、それが力ないお年寄り、女性であっても…。

介護は突然やってきます。
そんな時、入居する場所を選択する余裕もないことが往々にしてあります。
ここ福岡市では、本人や家族が希望する入居したい場所に辿り着けることは現実的に難しく、稀なことです。
そして、どうすることもできず、入居すると判断した家族には何の落ち度もありません。また、退去することも容易ではありません。
本人も家族も人生の最終章にこんな現実が待ち受けているとは思ってもいないはずです。

自分達はまず、この方が「人」に抱いてしまった不信感、不安感、失望感などを抱かないような関わりをすることから始めました。
「嫌がることは絶対にしない。」ことが人への信頼回復につながれば…と希望を持って。
逆に言えば、それしかできないと言える状況でした。

今後も同じような出会いがあると思います。
しかし、自分達は、この経験を糧に、目の前で一緒に過ごすお年寄りにとって「大事にすべきことは何なのか」を見失わないように努めていきたいと思っています。IMG_1717

今回は思い切って、一部のお年寄りを取り巻く状況を報告させていただきました。
外出や催し物などの明るく楽しい出来事もたくさんありますが、自分達はこのような現実とも向き合っています。

このことは、実践の中に埋もれてしまうより、伝えていくことも大切だと感じました。
そして、介護保険制度から生み出される歪みで犠牲になっている方がいる事実を知ってもらいたいと思っています。
こういった問題にどう向き合っていくべきか、専門職として、また自分の事として考える必要性があるような気がしています。 

大事にすべきこと②” への2件のコメント

  1. 先日の家族会でもお話しがあり、考えさせられました。
    身体拘束についてはこれまでも全国的に問題視されていますね。
    しかし、同意書一枚で今も続いていることに、私ごととして恐怖を
    覚えます。
    私は最近、古稀を迎えました。
    “介護は突然やって来ます。”・・にドキッとしました。
    よりあいが大事にして来たことは、私が望む終末の姿です。
    あらためて両親の在宅介護15年間の経験も踏まえ
    私の老いに向き合いたいと思いました。

    • コメントありがとうございます。
      身体拘束については、自分達も改めて考えさせられました。
      また、社会的な問題として捉える必要性があると感じています。
      自分たちはただ見過ごすのではなく、伝えていく立場にあると思います。
      みんなが自分のこととして、このような実態があることを考えることができればな…と願っています。

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