ノート

Kさんが自宅で暮らしていた頃に使用していたというノートをご家族より見せてもらう機会がありました。
そのノートには1カ月の献立がギッシリと書き込まれておりました。
また、その他にも当時気になったことや、テレビ番組で知ったことなどもたくさん書かれておりました。娘さん達との旅行の思い出が書かれていた箇所には、必ず、感謝の気持ちが記してありました。
そして、そんな貴重なノートが何冊もありました。

Kさんの誕生日の日、そのノートに書かれてある献立の中から、娘さん達の思い出の中で1番印象深い「ちらし寿司」と「茶碗むし」を作ることにしました。

誕生日当日、特大の寿司桶に作った「ちらし寿司」を3人の娘さん達と一緒に誕生祝いの席で頂きました!(^^)!
普段はウトウトされていることが多いKさんも、この日はとても嬉しそうに、どこか誇らしげに食されていました。
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森のお年寄り達がどのように過ごしてきたのかは自分達が知る由もありません。

本人、家族、友人、知人からの思い出話の中から一人一人のお年寄りの人柄や人生の歩みを辿っていきます。

今回、ご家族とともにKさんのたくさんのノートに目を通せたことで、よりKさんのことを知ることができました。その中には知られたくなかった過去もあったかとは思いますが…お許しください(+_+)

これからも家族の思い出話や、貴重な記録から、お年寄り達の少し若かった時代の面影を探しながら、支援のヒント?のようなものを見つけていけたらな~と思います(^O^)
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お姉さんの力で

先日よりあいの森のショートステイを初めて利用されたおじいさんの話です。

自宅以外に泊まったことがないおじいさんはショートへ来ることに不安一杯でした。ただ、幸いなことに実のお姉さんが同じ日にショートを利用されていました。

よりあいの森へ来てお姉さんと顔を合わせたおじいさん。とても不安気に「本当は泊まりたくないんです。自宅以外では眠れんのです。」と言っていました。

お姉さんはどっしりとされた方なので、その言葉を聞いて「泊まりたくないんなら、自分に嘘でもついてりゃいい、目を閉じてれば眠れるやろうもん。」とバッサリでした(‘Д’)

そんなやり取りを繰り返している内に、夕食の頃には心配や不安は薄れていきました。そして、お姉さんと酒を酌み交わし、泊まる決心をしてくれました。

初めての場所へ泊ることへの不安から、いつ「帰りたい」と言い出すだろうと職員達もドキドキしていました。しかし、お姉さんが諫めてくれたことで何とか前向きな気持ちになってくれました。

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本人はもちろん、職員達も馴染みの関係を築いていない中で関わることは緊張と不安の連続です(>_<)

ショートを利用される多くの方は自宅で過ごすことを望んでいます。本人には泊まる理由はありません。環境が変わることは認知症を抱えている方達にとって大きな負担にもなります。

ただ、介護している家族にも休息が必要です。共倒れしてしまっては元も子もありません。通い慣れ、馴染みのある場所に泊まる事が最低限担保できれば良いのですが…。ショートと言う制度は一番大事な関係作りを飛び越えて「泊り」の支援をしなければいけません。

色々な課題のある制度だと感じてしまいます…。

このおじいさんが納得して泊まれる場所になるように、家族やお姉さんの力を借りて、ゆっくりと馴染みの関係を築いていきたいです!(^^)!