先月、99歳を迎えたカズエさん。
3月13日の夕方、馴染みの職員に囲まれ、人生最期の一呼吸を終えた。
7年半の付き合いだった。
92歳まで古い日本家屋で一人暮らしをしていた。その後、よりあいの森で5年間を過ごした。背筋をシャンと伸ばして歩き、凛とした佇まい。若い頃の写真を見せてもらうとどことなく女優の「野際陽子さん」に似ていた。行政機関の部長を務めあげたキャリアウーマンでもあった。
そんなカズエさんとの思い出、エピソードは数限りなくあるが、その中の一つを紹介したい。
要介護度認定の更新に伴う認定調査の立会の時の話だ。
認定調査とは、認定調査員の方が当事者のもとを訪れ、身体の動きや病気の具合、暮らしにまつわる行為がどの程度できるのか、それに伴い、どの位の支援が必要となるのか、また、認知症の進み具合等を確認するために色々と質問をしていく時間のこと。
初めに名前、住所、年齢と認定調査員の方が聞かれる。いつものカズエさんならあやふやな答えを返すはずではあるが、その日は実にスラスラと軽快に返答していた。
「なんかいつもと違うな?」といつものカズエさんでは想像がつかない位に明瞭な返答に驚いた。
その後も認定調査員の方からの質問は淡々と進む。
淡々と答えるカズエさん。
「あれれ~。こんなはずではないのに…。」と思う自分。
そして、次の質問。
「今の季節は、春、夏、秋、冬のいつですか?」と聞かれた。
返事はすぐに返ってきた。
「ん?う~ん。ねぎ!!」
「???」「ね、ね、ねぎ???」「今、収穫の時期?季節?だったけ?」
認定調査員の方は聞き間違いと思ったのか再度質問する。「今の季節は春、夏、秋、冬のいつだと思いますか??」
また同じ質問して「なんなんだ!」と言う表情をされたカズエさんだったが、その答えは…。
「ん~。ネギ!うん。」
と答え、顎を突き出し、口をへの字に曲げ、自身に満ち溢れた表情をした。
やっと、カズエさんらしさが出た~!と心の中でガッツポーズをとるとともに、笑いが止まらなくなってしまった僕。二度の同じ質問に失礼極まりないといった表情のカズエさん。呆気にとられている感の認定調査員の方。真面目な雰囲気だったその場の空気は一変し、完全にカズエさんのペースに巻き込まれていった。
その後もカズエさんワールド炸裂の返答の数々に終始笑わせてもらった。カズエさんとしては、大真面目に答えていたので、笑うのは失礼…とも思うが、実際あの場にいて、笑わずにはいられなかった。
カズエさんとの思い出はブログでは納まらないので、これくらいにして…自分の胸の中にしまっておきたい。
とにもかくにも、認知症やボケを抱えてしまったお年寄りの一人暮らしを支える「いろは」を教えてくれたカズエさん。
チャキチャキ歩き、怒らせるととっても怖かったカズエさん。時間の流れとともに、歩かなくなり、いつもほほ笑んでくれるようになった。
カズエさんにとっては短い期間だったかもしれませんが、最期に至るまでの貴重な時間を一緒に過ごし、最期の一息を側で見ることができて本当に幸せでした(^_^)v
99年間、お疲れ様です。次会う時は、一緒にたくさんお酒を飲みたいですね(^O^)
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