GOYA!

ご1

車の温度計が41℃を叩きだしたお昼過ぎ、第二よりあい前の坂を汗だくになって登っていた時、目に飛びこんできたショッキングオレンジの物体。ご2

皆様はゴーヤがこのような色になる、あるいはこのまま放置していると、以下のようにべろんと爆発し(正しくは烈開というらしいです)赤い種皮が露出するのをご存知でしたでしょうか・・。

ご3

これまでスーパーのゴーヤしか見たことが無かった私は当然知りませんでした。その上この赤い種は食べれるらしいです。

前置きが長くなりましたが、第二よりあいの家屋は激しい西日が直撃するため、夏場の午後に急激に室温が上がってしまいます。そこで、少しでも暑さをしのぐため、そして少しでも食料自給率を上げるために、縁側にこのゴーヤで緑のカーテンをこしらえました。陽を透かしてひじょうに美しいです。

ご4

まきこさんを誘って、カーテンのおかげで涼しくなった縁側に出て、ゴーヤをひとつ摘んで頂こうかと思いました。

私がありったけの爽やかさで「ゴーヤを摘みませんか?」と誘った瞬間のまきこさん。

ご5

そして以下、じっさいにゴーヤを手にしたまきこさん。ご6 ご7 ご8

・・・・・・・・・・・。

私の中に、ゴーヤに対するジェラシーがふつふつと込み上げてきました。

昼食時、切り刻まれたあげくナスの下に敷かれ、味噌にまみれたゴーヤを目にしても、私の敗北感は消えませんでした。

ご9

シソの隠し味が効いてて、とっても美味。

こーして、こーして

霧雨煙る6月の朝、フサエさんとマサコさんが何やらひそひそ熱心にお話しされていました。

二人揃って長い円筒状のものを両手で上から下になぞるようなしぐさを繰り返し、お互いを見つめてはうんうんと頷いておられます。

少し離れた台所からその光景を眺めていたのですが、大きな窓から差し込む曇り空の反射光の中で、二人の姿は妖しげな影絵のように上下に蠢いており、村々の最長老クラスしか仲間にまぜてもらえない感じの儀式みたいで、なんだか気になって仕方がなくなってきました。

洗いかけの皿を放り投げ、どこからどう見てもぺーぺーの私は、儀式にまぜてもらえないかもしれない不安と闘いながら二人に近づいていきました。

フサエ「こ、こんなして、こんなして、、ねぇ!」

1

マサコ「そそそ!こーして、こーして!」2

老婆たちの静かな熱狂を記録しておこうと、床板にねそべってかなりのローアングルでシャッターを切るぺーぺーを、まるでそこにいないかのように無視して二人は透明な円筒形をなぞり続けています。ひたすら「こーこー」言いながら。

ぺーぺー「あ、あのぅ・・・」

マサコ「あなた、そんなところに寝そべって何してんの?」

ぺーぺー「え?いや、その儀式、なんというか、、僕もまぜてください」

フサエ「うんうん」

マサコ「儀式って何?」

ぺーぺー「いや、そのさっきのこーして、こーしてってやつ」

フサエ「うんうん」

マサコ「私たちはね、戦争中は電気の傘からこーして黒い布を提げて、たったこれくらいの小さな灯りの輪の中で本を読んだのよ‥」

ぺーぺー「へ?」

マサコ「もうそれもね、ケンペーが回っているの。見つかったら逮捕されるのよ!」

ぺーぺー「なぜ?」

フサエ「うんうん、灯りが漏れる!」

ぺーぺー「灯りが漏れるとなぜ健平さんから逮捕されるんですか?」

マサコ「トーカカンセーよ、そんなことも知らないのあなた!」

ぺーぺー「・・・・」
灯火管制(Wikipedia)
戦時において民間施設および軍事施設・部隊の灯火を管制し、電灯、ローソクなどの照明の使用を制限することである。それにより、敵が状況を把握することを防ぎ、また、夜間空襲もしくは夜間砲撃などの目標となることをなるべく防ぐことを目的としている。都市部の民家などにおいては方法として窓をふさいだり照明に覆いを付けたりした。ただ、第二次大戦においては、B-29は高性能のレーダーを搭載して都市の市街地を爆撃することもできたため、既に効果が低かったとされる。
そんなことがあったのですね。

別に二人はUFOを呼ぼうとしていたわけではなかったのですね。

なぞっていた透明な円筒形は、電気の傘から垂れ下がる布きれでした。

朝から雨の降る日は窓の外に広がる油山も霧で隠れて、外にも出れないしなんだか憂鬱になるときがあります。そういう時には宅老所の土間の大きな窓と、その近くに灯る素敵な照明がとてもいい仕事をしてくれます。

窓と照明の傍にいくつかの座椅子を置いておくと、お年寄りは自然にそこに集い、少ない言葉でも相通じる共通の体験を、静かに、時にはあつく語り合って過ごすことがあります。

Wikipedeiaで調べる灯火管制は、どこか遠い国の遠い時代のように私たち世代にとっては他人事のように感じてしまうのですが、お年寄りの実体験を伴う固有の語りの中には、その日その時にその人の話を聞くことでしか知りえないことが沢山詰まっている気がするのです。

さあ、インターネットに飽きてきたそこの貴方!

お年寄りのループする昔話をひたすら聞き続けたいという奇特なそこの貴方!

雨の日は桧原のよりあいへ、コーヒーでも飲みに来ませんか?

3

肩もみ

「肩もみ」と聞くとどういったイメージをされるでしょうか?

私は子供のころずっと両親の肩もみをさせられていて、正直嫌だった記憶があります。

職員が力夫さんの肩を揉んでいるとヨウ子さんが「私がしましょうか」と言って代わって下さいました。「じゃあ僕がヨウ子さんの肩を揉みましょう」と職員がヨウ子さんの肩を揉み始めます。

三人が繋がっての肩もみという不思議な光景がそこにありました。

01

すると奥の方からは「私は小さなころから父親の肩を揉んでたからねぇ」と、とあるお年寄りの声が聞こえてきました。

視線を向けるとそこには・・・

02

第2よりあいの管理者緒方がチエ子さんに肩を揉んでもらっていました。
「最近忙しくて首が回らないんです」と言う緒方に「あなた働き過ぎなのよ。こんなに肩が凝ってるもの!

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と肩もみにも力が入りしっかりと揉みほぐして下さっていました。

私にとってきらいな思い出の肩もみでしたが、誰かのことを思って揉んでいる姿を見ると、また両親の肩を揉みに、実家に帰ろうかなと思った出来事でした。

ふんじゃえ!

第二よりあいのお年よりたちは、待っている。

いつも何かをお待ちです。

それは、、、ペットボトルのはず!!

お年よりのアツい要望に応えたい一心で、潰さなければいけないペットボトルをテーブルの上に広げてみました。

1

どうです、この獲物を狙う表情。大正末期から昭和初期にかけて生まれたとは思えない、瞳の輝き・・。

クニ子さん「あんた・・ふふふ・・つぶしよったら手の痛うなったとやろ?」

容子さん「うん、ハンドクリームば探しよる」2

クニ子「どれ、ちょっとこっちにかしてんさい!」3

「こぎゃんして

4

ふんだくっぎよかとさい!!(踏みつけたらよい感じで潰れる、の佐賀弁)」

チエ子さん「でもそれ、足が痛くなるよ」

5

クニ子「だーいじょうぶ!そがんこたぁなか!!えい!えい!」6

「えいえいえいえいえいえいえいえい!」

クニ子さんのペットボトル踏みには、

なにか近寄りがたい気迫と愛らしい仕草が同居しています。

みんな笑うしかないです。

 

その光景を見ていたらなぜか、

通勤途中で食べようと思っていたマカロンがカバンの中で粉々になっていた

今朝のガッカリ感がありありとよみがえってきました。

7

おわり。

筆舌に土筆がたい

第2よりあいには、お年寄りが集う広間の窓から見える広い専用駐車場があります。

今朝、その駐車場と隣家の境目にあやしげにうごめく巨大な動物を発見!

神社の狸かなぁとわくわくしながらしばらく見ていると、灰色の背中の向こうからにょきっと頭が・・
あい
獣ではなく人でした。女性です。みょ、妙齢の職員、アンリさんです。

 

まさかの…(‘Д’)

 

アンリさんのそばまで近づいてみると、一心不乱に何かを摘みとっておられました。
う
え
お
土筆です、つくしんぼです!!

そこらじゅうに顔を出しています。

ちなみに「土」に「筆」と書いて「つくし」と読むのですね。

パソコンの変換機能のおかげで今知りました!

隣家との境は斜面になっているから落ちないように必死というわりには、ただで手に入る春のめぐみの食材に、料理が大好きなアンリさんは始終にやけています。

どんなふうに調理をしたらお年寄りに喜んでもらえるのか・・そんなことを考えてニヤニヤしている顔です。
か
「ありゃ?土筆やんねこりゃぁ」
き
広間のテーブルの上に土筆を広げると、

何も言わずすぐに「はかま」をむしり取り始めるおとしよりたち。

まるで全自動はかま取り機です。

「ああぁ♡もう春ねえ、ウフフ」とか「まぁ、もう土筆が出てるのね!カワイィー」とか、ないのでしょうか・・

なんか沈黙が気まずくなってきたので、淡々とはかま取りをして下さっているフサエさん(鹿児島出身)に聞いてみました。

「いまごろ、フサエさんのふるさとでもつくしがたくさん顔を出しているでしょうねえ・・南の方だからもう摘まれたあとですかねぇ?ははは・・」
け
「アタシは、」
こ
「つくしなんか!食べない!」

さ
ドドーン!!!