ドッキドキの昼下がり(;^ω^)

ある日のお昼ごはん終わりだった。みんなご飯を食べて世間話に花が咲いていた。

あーだこーだ話しが盛り上がる中、耳が遠い江口さん。そそくさと荷物を取り出し帰り支度を始め出す。

職員の元に近寄ってきて「私、帰らしてもらいます」ピシャリと一言。靴を履こうと縁側へ。

表情は固く意思は固まっているようだった。これまでも時々同じようなことはあったが、歌や話を振りながら楽しんでいることが多かった。

しかし今度ばかりは何かが違う。

縁側に向かう江口さんに急いで声をかけ「私家まで送りますよ!!」と伝えるが「その辺でタクシー拾うからいいわよー!帰らせて!」と出ていかれる。

「そんな事言わないでくださいよー、家に帰っても一人っていつも言ってるじゃないですかー、わたしだったら一人は寂しいし、せめて送らせてください」

江口さんは苦笑いしていたが、なんとか車へ乗ってくれた。

沈黙が続く中・・・

「私いいのよー、家でテレビみたり歌歌うの好きだし」とポツリポツリと話しだす。

どんどん、よりあいから遠のいていく中、、、

「私は、ドライブが好きなの、車に乗れればどこへでもいいの、行ってちょーだい」。次第に表情が明るくなったかと思うと「ふんふん♪ふんふん♪」鼻歌が出始める。どうやら少し気分が変わったようだ。胸をなでおろす。

「その歌なんですかー?教えください!」と聞いてみると、「あかい花なら曼珠沙華ー♪」と長崎物語をにこりと笑顔で歌い出し、車内は一気に長崎ムードに包まれ二人ともノッリノリ。

 

「あー、なんだか気分が良くなりました!あそこのスーパーでも寄ってみんなにお菓子でも買いましょうか✨」

 

スーパーで栗饅頭を買って、無事よりあいに帰ってきた。よりあいについて扉を開けると「ただいまーっ」と大きな声で一言!!何事もなかったように、その後も目一杯歌を歌い、栗モナカを一緒に食べたおやつどきのひとときだった。

一般的なデイサービスや特養などでは、勝手に外に出て行く事や自分勝手な行動をとる事は問題行動として対応されてしまうことが多いような気がする。しかし、この時関わっていた私は、江口さんが本心で自宅に送って欲しいと言っているとは思えなかった。

なぜなら「私、ひとりぼっちだもの、家にいても歌を歌うかテレビ見るだけだもの、さびしいのよ」といつも言っているのを知っているから…。

きっと「帰りたい」と言われた背景には、その場がつまらなかったり、耳が聞こえづらくて話についていけなかったりしたからだろうと感じた。もしくは、ちょっと気分転換したかっただけかもしれないし、よりあいで楽しく過ごしたいという思いが強いからこその行動だったのではないだろうか。

常日頃からお年寄り達の言葉や行動の裏にある思いや背景を想像しながら、柔軟に対応していくことが大切だと思う。

そして日々自分達の歩みをとめず、一つ一つの関わりを振り返ってみんなで考えていける職場でありたいとも感じた出来事だった。

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2 thoughts on “ドッキドキの昼下がり(;^ω^)

  1. 江口さんのお気持ちが少しわかります。
    その場の雰囲気から離れて、気持ちを鎮めたかったと思います。
    お茶を飲むとか、室内・外の散歩をするとか、気分転換のチャンスを見つけてあげて下さい。何よりもお声かけが一番ですね。
    私も聞き耳が右耳だけでなので、大勢の中では聞き取りが
    難しいことが度々あります。また、年をとると聞き耳が難聴・耳鳴りも
    重なります。私の場合は、気象状況や睡眠不足なども影響があるように思えます。そんな時は昼寝や散歩をしています。

    • コメントありがとうございます。さまざまな理由が関係しているんですね。
      これからもその方の気持ちや背景を考えていけるような気持ちの余裕、場作りを皆で考えていければと思います。

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