この日は、第二よりあいから車2台で野多目大池を目指して住宅街をゆっくりゆっくり走っていました。家々の庭先には、ツツジが咲き誇っています。
ある家の前を通ると、赤い実をたくさんつけた木が目に留まりました。先頭の車が見えなくなってしまいましたが、車を止めるようにしながら「この木見てください。なんかたくさんの実がついてますよ。なんの木でしょうね」と助手席のチエ子さんに話かけました。チエ子さんは窓から顔を出して、「まあ、ほんと」と驚きました。
赤い実がぎっしりと付いているその木には、大きなリンゴもぶら下がっています。不思議に思いながら目線を落とすと、玄関先に男性が座っていました。車を停止して、「すいませ~ん」と声をかけました。
「ここを通りかかったら、木に赤い実がたくさんついていて、リンゴもあって・・。リンゴの木ですか?」と尋ねると、「これはね、全部作りものですよ」と返ってきました。そして、その方は庭先からテーブルを持って出てこられました。
車を降りて、テーブルのそばに行きました。そのテーブルの上には、たくさんの菓子パンが並べてありました。そして、これが全部作り物であることに目を丸くしました。一つお借りして、「これ、木で作っているそうなんですよ」と車中に持ち込みました。
「ほ~う、よく出来てるね」と、手に取ってかじる真似をするチエ子さんと目が合い笑いました。ハルコさんも「これ、にせもの?」と表も裏もくまなく見ておられました。
そうしている内に、先を走っていた車が、後車がついて来ないことに気づき引き返してきました。家の方は私たちを歓迎してくれ、皆さん車から降りてお庭を見せてもらいました。
「よくできますね~」とミズエさん。本物そっくりのパンに釘付けでした。
この家の方は出口さんおっしゃって、もともと大工さんをしておられたそうです。仕事を引退して、木で彫り物を始められたとか。ご近所さんやここを通る方が、お庭の飾りを楽しみにしてくれていることがとても嬉しいと笑っておられました。
途中から隣に住む小学生の女の子が、江口さんに作ってもらったぬいぐるみの家を持って遊びに来てくれました。野多目大池を目指していたことをすっかりと忘れ、偶然出会った方々とにぎやかで楽しい時間を過ごしました(#^^#)
まるで、お伽の国に迷い込んだかのようなひとときでした。