家探し

ある日の午後、よりあいの森に暮らしているお年寄りが戸建ての物件を探していた時のお話をされ始めました。

お年寄り:「私がね、旦那さんと子供を連れてね、この辺りで住む家を探していたのよ。それでね、不動産屋さんに行ってね、色々な場所へ案内してもらったとやけどね。」

職員:「うんうん、それでそれで??」と突然始まった物件探しの話を何抜けなしに聞いていますと。

お年寄り:「1軒目はね、家の中に入ってみたらね、夫も息子も立ったままじゃないと寝れないような家だったのよね~。」

職員:「えええー!!立ったままじゃないと寝れない!!?」と驚きます。
心の中では「そんな家って!!?めちゃくちゃ寝室が細い家!!?窮屈すぎない??トイレやお風呂はついていたのだろうか?台所は??なんにしろそんな家見たことはないし、存在自体危ういぞ!!誰がそんな家に住んでいたんだろ??」等々、1軒目の家を想像して、含み笑いをこらえます。

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みんなの含み笑いをよそに物件探しの話はまだ続きます。

お年寄り:「でね、2軒目はね、家の中に一回入ってしまったら、出てこられない家だったのよ~。」

職員:「ええええー!!今度は出られない家!??」と驚きます。
心の中では「じゃあどうやって出てきたんだろう??迷宮?迷路みたいな家??広さは?外からカギがかかるの??」等々、1軒目同様にその家のことを想像しては、笑いをこらえます。

お年寄り:「そしてね、3件目はね、、。」

職員は心の中で「ついに3件目!!次はどんな面白い家だろう!?」とそのお年寄りの口から出てくる言葉をワクワクしながら耳をすませます。

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お年寄り:「3軒目はね、入るところがない家だったのよ~。」

職員:「えええええー!!入るところがなかったんですか??!」と一同驚きます。心の中では「それは果たして家と言えるのか??もはや家とは言えないよね。外観だけ見てきたってこと??廃墟??ただの大きな箱だったりして?」等々、これまでの積み重ねもあり、ついに笑いをこらえることができなくなり、腹を抱えて大笑いしてしまいました。

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お年寄り:「だからね、今、私には住む家がなくて宙に浮いているの~!!わ~い!!」と言って両手を掲げて万歳され、これでもかというくらいに幸せそうに笑っていました。

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職員:というか、そんな家ばかり紹介する不動産屋さんって、、うん、、けど面白い物件かも!貴重な体験ができるかも!とか思いつつ、このお年寄りの今が幸せそうなので、万事OK!!ですね(笑)

素晴らしき想像力とこの爆発的な世界観に出会えるのがこの仕事の魅力の一つですね!!しかも、話をしているお年寄りはとても真剣なのです。お年寄りが真剣であればあるほどに、こちらも真剣に話を聞き、そのオチの深みにはまってしまいますよね。

それでは、このお年寄りが出会った物件よりも面白い「家」のお話を持ってるよ~という方!ぜひお聞かせくださいませ。お待ちしております。

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