第2よりあいのかき氷

よりあいの森の古民家の倉庫に、ここ数年間使っていなかったかき氷機があったので、第2よりあいに借りてきました。

氷を削る刃が錆びていたので砥石で研ぎ、ネットの説明書を見ながらスムーズな再使用のため、入念に準備しました。

いよいよ、かき氷機試運転の日、広間に機械を設置すると…。

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「あれ、なあに?」と少し離れた所に座っていたマスミさんが尋ねます。「かき氷を作る機械ですよ」と職員が答えると「大きいね。お店のみたい!」と目を丸くされていました。

「何の味が食べたいですか?」とたずねると「抹茶がいいね~」とシズ子さん。
「イチゴも食べたいですね。練乳もかけたら美味しいかも」と職員も提案しました。

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「氷を割りますから、ちょっと押さえてて下さいね~。」飛んでくる氷の冷たさに思わず笑顔になります。

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いざ運転!スイッチオン!!

ゴガガガゴシャシャシャー!!! 結構激しい音がしたので、少し不安になりましたが、それと同時に笑いも起きます。

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溶けないように、早く食べてください!

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2杯目は違う味にしてみたりして、皆さんおかわりされていました。なかなか飲み物がすすまないエツコさんも、気が付けば3杯目・・・。        その様子に職員は大喜びです。

その日から「第2よりあいかき氷屋」がオープンしました。

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8月中はメニューをずっと貼っていたので「あら、今日はかき氷食べれるの?」とお年寄りから声がかかれば、かき氷作りの準備を開始します(#^^#)

ある時はトッピング用の白玉だんごをお年寄りと一緒に作ったり、またある時はコーヒーゼリーを作ったり、どんどんバージョンアップしていきました。

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連日の猛暑で、「かき氷機って、いくらくらいするんですかね~」職員のこの一言から始まった「かき氷」でした。                        この夏は、お年寄りと職員が一緒になって楽しむことができました。

これから少しずつ暑さが和らぎ、季節は秋へと移り変わっていきます。その時々の季節によって何をして楽しむのか、お年寄りとともに考えながら過ごしていきたいです。

「六月博多座大歌舞伎」

今年で102歳になる瑞枝さん。東京で50年間一人暮らしをされていました。「独身貴族を謳歌した」とよく東京での話を聞かせてくれます。歌舞伎がとても好きでよく観に行っていたとも言っていました。ちなみに好きな歌舞伎俳優は、中村吉右衛門さんだそうです(^-^)

6月のある日。「博多座で歌舞伎の公演がありますよ。行きませんか?」と職員が瑞枝さんを誘いました。瑞枝さんは大喜びです!!

他に行きたい方を相談していたところ、川端商店街で商売をしていた幸子さんが、博多座の会員でよく歌舞伎を観に行っていたことがわかりお誘いしました。

そして、歌舞伎初体験の職員2人と一緒に博多座に歌舞伎を観に行くことになりました。

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当日、案内された座席に座った瑞枝さんは「本当は花道の近くが一番いいのよ」と座席が後ろの方だったことが少し残念なようでした。

それでも演目が終わるたびに

「この演目も一門が違うと踊りや衣装がちがうのよ」

「あの最後の場面が見どころだからね~」と説明してくれました。

11時に開演し、すべての演目が終わると14時を過ぎていました。

そのまま川端商店街をぶらり。

よさそうなお店に入って遅めの昼食を食べることにしました。

入り口近くは、土居流れの飾り山の準備が始まっていました。店先の帽子をみたり、仏壇店のおみくじを引いたりしながら歩きました。デパートとはまた違った趣があります。

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幸子さんが「このお店はよく行ったのよ」と何件か教えてくれたのですが、どこも準備中の文字。残念・・・。

それでも商店街を抜けそうになる手前で、開いている天ぷら屋さんを発見。

コロナ禍もあり、歌舞伎の話をしながらワイワイ食事とはなりませんでしたが・・・。美味しゅうございました。

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一日ゆっくりと出かけて楽しい時間を過ごすことが出来ました。

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風鈴を見に

隣に座っていた職員が『篠栗町の山王寺に4000個の風鈴』の記事を見つけました。

山王寺では、”若い人にも是非訪れてほしい”と数年前から夏シーズンに風鈴の飾りつけを始めたとのこと。

「4000個の風鈴が見に行きたーい」とのことで、お年寄り5人職員3人、さっそく午後から篠栗町の山王寺へ向かいます。 第二よりあいから都市高を使って40分ほどで到着しました。 新緑美

お天気もよく、新緑がとても美しいです。

写真駐車場から風鈴にたどり着くまでのルートは2つありました。

ある方は「この階段は急で登るのはむずかしそう」と緩やかな坂を50Mほど歩いて。。 また、別の方は30段以上ある階段を上がって。

ついてきてる?

皆さんそれぞれ境内の上の方にある風鈴の場所に向かいました。

風が吹く度にカラカラカラ…。

風鈴群

藤城逸見

よく見ると風鈴の短冊には訪れた人の願い事が書いてありました。

「私たちも何か願い事を書きましょうよ」と職員が風鈴を一つ買ってきました。

瑞枝さんに「代表で書いてください」とお願いすると、「なんて書いたらいいかな・・・」と言いながら、さらさらさら。

皆健康で

「健康でよりあいのみんなが楽しく過ごせますように!」

平川短冊

これからも、思い立ったが吉日。みんなで楽しんでいきましょう。

命拾い

油山の尾根から灰色の雲が近づいてきて、涼しい風が桧原のまちに夕立を運んできました。

「これで涼しゅうなる!」といって、窓際のソファで雨に濡れはじめた隣家の瓦屋根を眺めていたクニ子さんは、おもむろに腰を上げて外のデッキへつながる出口のほうへ歩んでいこうとされます。

少し不自由な右足を引き摺りながら、ピアノのふたや長椅子の背もたれをつたって、ようやくたどりついたガラス戸を開けると、側に置いてある工具やら庭弄りの道具がごちゃごちゃ入っている白い発泡スチロールの箱の中から、迷うことなく花切ばさみを取り出し、そのままデッキの向こう側のゴーヤのグリーンカーテンのほうへ向かわれました。

一歩ごとに右側にかくん、かくん、と傾きながら、地面まで40センチほどの高さのあるデッキの端に向かう後姿を見ていたら、そのままグリーンカーテンに突っ込んで地面に落ち、視界から消えるクニ子さんの姿が脳裏をよぎって、すこし冷や汗が出てきます。

「用心してね」と声をかけたいのをぐっとこらえて、いつ転んでも咄嗟に掴んで支えられる距離を保ちながら、気付かれないようにそっと後ろをついていきました。

 

「ついてこんで、よかとよ。」

「いや・・私も夕立に用があるので。」

 

後をつけていたことがばれていたことにうろたえ、わけのわからない返答をしていると

「このみたんなかとば、すっぴゃー押し切ってしまおう」

(このみっともないものをすべて切ってしまおう)

と枯れたゴーヤのツルをハサミで指して、にっこり微笑みかけてくださいました。

 

枯れていく葉を眺めるのも一興ですが、クニ子さんはとてもきれい好きです。

8月の終わりごろから、日が暮れるとはさみをもって、茶色くなり始めた葉っぱを片っぱしからむしり取っていくのが日課のようになっておられるのでした。

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通り雨のおかげで、デッキには心地よい初秋の空気が満ちていたので、今日はゆっくり作業してもらおうと椅子を用意しました。

「椅子なんかいらんよぅ、よかとけー」

と言いながらゆったりと腰を下ろして、網に絡みついて取りづらいゴーヤのつるを、しわしわの手でひとつひとつ丁寧にほどき、網まで切ってしまわないように一心に目を凝らしながら、

ぱちん・・ぱちんと・・

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・・おもいっきり網もろとも切っておられます・・

 

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「クニ子さん、それあみやん!」

「はぁあん!!?怒」

「いえ・・何でもないです。ところでそこの実、なんかもう上のほうが黄色くなっているし、切ってもいいんじゃないですかね?」

と聞いたところ、

「いんにゃ、これはまだ生きとるよぅ・・。」

と言って、こんどはゴーヤに微笑みかけ、つかんだ手をそっと元に戻されました。

あすの朝は、スッキリとよみがえった緑のカーテンの真ん中で命拾いしたゴーヤが、静かに顔を出していることでしょう。

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何の木?

広間の円窓のすぐそばに生えている梅の木。今年は暖冬のためか蕾が膨らむのも早く、お正月過ぎにはちらほら咲き始めていました。

「鳥が、来んね…」というお年寄りのつぶやきを聞いたような気がした次の日、よりあいに来ると梅の木がこうなっていました。

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さじ加減、という言葉が思い浮かびました・・・。

しかしそのおかげで、今となってはなんだかよくわからない木に次々に小鳥が押し寄せてくるようになりました。

「あぁ、あぁ来た来た!!コスズメがきているよぉ!」

メジロなのですが、ヨウ子さんの「コスズメ」という呼び名はひじょうにかわいいですね。

こう来て、

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ふんばって、

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見て、

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吸います。

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あまい果肉に届かない・・

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そこで、ぶら下がって、

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裏から吸うのです。

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この一連の愛らしい動きを、円窓を通して広間の中から毎日眺めることが出来るのは、椅子に座っている時間が長いお年寄りにとって、無上の喜びとなっています。

「まだメジロが来ない!」と方子さんは新聞を読みはじめ

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「ふとぉか鳥がきてね、メジロがあっちさい逃げたよ!ちょっとはがいか!」とクニ子さんが笑い、

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「こんなにいい風景がありますか、きょうは良い日です」とヨウ子さんが箸をやすめ一息ついています。

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円窓を作って頂いた建築家の方と、桧原の自然の賜物に感謝しています。