おじいちゃんは6月の末によりあいの森に来られた。
御年98歳になられる。
見た目は黒目がクリクリっとしたおじいちゃん。
食事は指と顔を巧みに駆使し、しっかりと食べられる。
もちろん、疲れた時は好きなだけ寝る。
「初めまして」から1週間くらいがたったある朝、起きてきてすぐに「背中が痒い…。」と言われた。
職員は背中を掻いた。
「あああ~。」と気持ちよさそうに顔がほころぶ。
しかし、朝は職員の人数も手薄。3分くらい掻いたところで掻く手を止めた。
その直後だった。
「かゆいんじゃー!!」と怒りが爆発(‘Д’)朝食どころではない。
前にあった直径2mくらいの食卓丸テーブルを蹴飛ばし、にらみをきかす。
背中に痒み止めを塗ってみる。
しかし、痒みは治まらない。
睨み続ける。目で「掻け!!」と訴えている。
朝、二人いた職員達は代わる代わる背中を掻き続けた。
掻き続けて15分。何とか「今」ある痒みは治まったようだった。
ただ、それから5~10分は近寄ることができない空気をまとっていたが…(-_-;)
意を決して「そろそろ朝ご飯食べませんか??」と聞くと「うん。食べる。」と答えられ、ホッと一息。
「この場所はどこまでワシのことを受け止めてくれるのだろう。」と試されている感じがした。
96歳まで、誰の手も借りず生きてきた。
このおじいちゃんにとって、よりあいの森に暮らすことがどんなことなのかを今一度考えてみる。
ここはどこだ??この人たちは一体誰だ?俺はこれからどうなる!!
その他、色々な思いを持ってここに来ている。時間の流れとともに徐々にその思いが溢れ出てくるかもしれない。
これから自分達は、このおじいちゃんのそんな思いと共に、どんな暮らしをすることになるのかを楽しみにしていたい(^_^)v